2017年05月31日
古墳と神社の関係(7)
古墳や神社が細長く突き出る丘陵の先端にあることが多いのはなぜか、を追いかけています。
赤門上古墳出土の三角縁神獣鏡です。
前回もとりあげた森浩一氏の『ぼくの考古古代学』という著書には以下の記述があります。
「古墳時代(四-七世紀頃)の遺跡からは、多くの銅鏡が出土している。なかでも、最も種類の多い鏡が神獣鏡、神と獣の鏡である。ここでいう神とは、現在の住吉さん(住吉大社)やお稲荷さん(稲荷神社)などの神ではなく、中国流にいう東王父や西王母などといった仙人のことである。つまり、不老長寿をマスターして不老不死になった人、あるいは不老長寿をマスターしようとしている人だ。秦の始皇帝も晩年、不老不死にあこがれたという。中国では不老不死を理想とする物の考えが盛んであり、それが日本にも影響したのである。卑弥呼女王のころが、その時代にあたる。このような不老長寿の世界を、鏡背に文様で表したものが神獣鏡だ。日本では古墳時代の四-五世紀に多く作られ、古墳によっては、三十枚ほど出てくる鏡の大半が神獣鏡の場合もある。神獣鏡が表している信仰は、仙人の、不老不死の信仰である。仙人の理想の生活は、山や島にいることとされる。島といっても普通の島ではなく、蓬莱島のように山のある島である。」
「このため、古墳時代の人々は、山は仙人のいる場所であるという考えを強くもっていた。」
古墳時代にはまだ文字がほとんどなかったので、人々が実際にどんな信仰を持っていたのかあまりよくわっていないのかと思っていたのですが、三角縁神獣鏡が副葬されているということは少なくともこの時代に日本に不老不死の信仰が伝わっていたという証拠になります。
つまり死後に、仙人の理想の生活をもとめて山または島のように見える場所に古墳を造ったということも考えられるのかもしれません。